黒竜江省のハルビンから吉林省の長春まではおよそ250km、この区間を高鉄(中国版新幹線)はなんと最速54分で駆け抜けます。
冬季はマイナス40℃にまで下がることもあるという極寒地帯を通過する高速鉄道に乗り、ハルビンから長春まで日帰りで出かけてきました。
ハルビン~長春の高鉄(中国版新幹線)に乗ってきた
こんにちは、乗り物全般が大好きな管理人です。
この夏、春秋航空を利用して名古屋から黒竜江省ハルビン市(黑龙江省哈尔滨市)に出かけてきました。

これはその内の1日、日帰りで吉林省長春市(吉林省长春市)にも足を伸ばした時の記録です。
ホテル・イビス・ソフィアチャーチからハルビン駅まで
まずはハルビンに到着した当日の夕方、翌日の長春移動に向けてハルビン駅(哈尔滨火车站)まで下見に出かけました。
宿泊先のイビス・ハルビン・ソフィア・チャーチからハルビン駅までは約2km、夕方の散歩にはちょうど良い距離です。

この日のハルビン市内は昼間の気温が35℃近くまで上昇して、かなり暑かったのですが、夕方になって日が傾くとぐっと涼しくなって街歩きも捗ります。
ソフィア大聖堂
ホテル名にもなっているソフィア大聖堂(圣索菲亚教堂)を横目に、ハルビン駅へと向かいます。
しかしハルビンの町並みはロシア風の建築が多くて非常に美しいですね。
15分ほど歩くと陸橋に差し掛かりました。
陸橋から列車をしばらく眺める
この陸橋はちょうどハルビン駅の真横に位置していて、プラットフォームに色とりどりの機関車が入線しているのが見えます。
しばらくすると列車が1本、こちらに向かって出発してきました。
これは最高時速170km/hを誇る、东风11というディーゼル電気機関車(柴油内燃机车)のようです。
もう日本ではこういう(機関車が客車を引っ張るタイプの)客車列車はほぼ見なくなってしまったので、しばらく見とれていました。
なんかこの、力強く「オレに任せとけ」的な感じで後ろの客車を引っ張る様子が、今どきの動力分散型電車と違って胸にぐっと来るものがあるんですよね。。。
ひとしきり列車を見終わって満足したので、引き続きハルビン駅に向かいます。
財布を忘れて「哈站」できっぷを買えず…
ハルビン駅は地元では「哈站」と呼ばれているようです。
名古屋駅を「名駅(めーえき)」と言うような、そんな感じなのかな…とかどうでもいことを考えつつ、滴滴快车でホテルに戻りました。

ハルビン駅で長春までのきっぷを購入
さて、翌朝はタクシーでハルビン駅に向かいます。
きっぷ売り場(售票厅)に入ると、ホールは朝からかなり混雑しています。
でも、ずらりと並んだきっぷ窓口がうまく機能しているのか、行列は比較的スムーズに進み、待ち時間15分ほどで私の番が回ってきました。
中国の鉄道キップは当日券だと、なかなか希望の時間のきっぷが取れないことがあります。
それで前日に購入しておきたかったのですが、財布を忘れるというポカをやらかしたために、この日は当日行ってすぐのきっぷを何とか購入する作戦です。
中国でできるだけ近い時間の列車を取るコツ
ちなみに、中国の鉄道きっぷ購入システムはコンピュータ化はされているのですが、係員は列車番号など条件を打ち込むまで、どの列車に空席があるか分からないようです。
それで、係員は自分の経験から「今の時間帯だと、1時間以降後の列車なら空席があるだろう」と推測しながら列車の空き状況を探ってくれます。
という訳で、私のように「今からすぐに乗れる列車に乗りたい」場合、もし係員の提示した列車があまりにも先の時間帯なら、粘り強く「もっと前の列車はありませんか?(有没有再早一点的?)」と交渉してみるのがコツです。
ちなみに、日本のグリーン車に相当する一等座(一等座)なら間際の列車も空きがあることが多いので、今回は一等座を指定してなるべく早い時間帯の列車のきっぷを発行してもらいました。
中国の列車は乗車までに時間がかかることが多いので注意
ただし、近い時間の列車のきっぷを取ったときは、寄り道せずにすぐに改札口に向かいましょう。
中国の列車(高鉄含む)は、手荷物検査などで乗車までに時間がかかることが多いので、日本の新幹線や電車に乗る感覚でいると乗り遅れることがあります。
私もこれまで2回乗り遅れてます(^^;

D112次で長春へ
ということで、往路(ハルビン-長春)は動車組(动车组)のD112次(”次“は日本語の「号」に相当)のきっぷが取れました。
運賃は126.5元(約2,000円)、東海道新幹線の東京-浜松間に相当する距離がこの値段で移動できる(しかも一等座)のですから、非常に安いですね。
ちなみに列車番号の先頭に「D」がつくのは在来線の線路を走るタイプの新幹線(秋田新幹線などのイメージ)で、所要時間が若干長く、D112の場合は所要時間が1時間41分となっています。
さて、中国の鉄道は基本的に列車改札で、時間になるまで改札口が開きません。
それで、列車出発の20分前、8時44分の改札開始まで改札口近くで待機です。
D列車はホームを在来線と共有しているので、改札も自動ではなく有人です。
改札口近くに売店が立ち並ぶ通路があったのですが、20軒近く並んだどのお店もほぼ同じものを扱っていて、ここにはまだ古き良き中国が残ってるんだと懐かしく感じました。
おばさんたちが愛想が良かったのは21世紀だからなのか、もしくは人情(人情味)を重んじる東北人(东北人)気質だからかもしれません。
ハルビン駅のホームは”機関車祭り”
改札が始まり、跨線橋を渡ってホームに向かいます。
中国の高速鉄道は基本的に座席指定なので、走って先を争う必要はありません(^^;
ハルビン駅は4つのホームを備える、東北地方各地からの列車が集まるターミナル駅なので、様々な列車やそれを牽引する機関車を見ることができます。
これはハルビンよりさらに北の方からやってきた列車のようです。
こちらは定格出力7,200KWというモンスター級電気機関車(电力机车)のHXD3D型、だそうです。(あまり詳しくないので百度百科を見ながら書いてます)
そうこうしてる内に、ホームの反対側には南からやってきた寝台列車が到着しました。
これはK265次、北京を出発し、ハルビンを経由してさらに北へ、ロシアとの国境の街ジャムス(佳木斯)に向かう快速寝台列車です。
長旅、お疲れ様です。
乗車位置が分からず汗
かっこいい列車や機関車たちに見とれていたら、列車が到着する時間が近づいてきました。
ということで、自分の乗車位置を、地面にプリントされた乗車位置表示を見ながら探すのですが、
番号の大きい方に向かうと番号表示が削れて見えなくなってます。
駅員さんに聞いても「あっちだ」とか「そっちだ」とかみんな適当なことを言うので、もうあきらめてその辺で待つことにします。
そうこうしているうちに列車がやってきました。
自分のきっぷと車両番号を見比べながら小走りで乗車位置を探します。
9号車が見つかりました。
ちなみに、中国の高鉄は2編成が連結されている場合があるので、「まず乗ってから車内で移動」と思うと目的の車両にたどり着けないことがあります。
きちんと車両を確かめてから乗車するのがお勧めです。
一等座の最前列・最後列には電源あり
さて、D112次の一等座はこんな感じの車内です。
若干くたびれてはいますが、2+2の広々シートなので、ゆったり座れますね。
充電用の電源コンセント(充电插座)を探してみると、最後列(最后排)にありました。
充電できる座席がいい、という場合は最後列か最前列(最前排)と指定してきっぷを取ると良さそうです。
長春駅へ到着
列車は大きく揺れることもなく非常にスムーズに走り、ほぼ定刻で長春駅(长春站)に到着しました。
帰り:長春~ハルビンG895次
さて、長春で用事を済ませたので、ハルビンに戻ることにします。
帰りの列車は、昼前に長春駅に到着した時にすぐに購入しておいた、17:14発のG895次です。
頭文字が”G”の列車は、日本の新幹線のように専用の線路を走るタイプです。
待ち合いも改札も、色々と新しいですね。
列車がやってきました。
左がドイツのICE3ベースのCRH3型、右がイタリアのETR600をベースにしたCRH5型というタイプだそうです。(Wikipediaで調べました)
私はこれから、左のイモムシ型の方に乗ります。
G列車の一等座はおみやげつき
G895次は、長春駅からハルビン西駅までを1時間11分で結ぶ列車で、一等座の料金は176.5元(約2,700円)、往路のD112次より50元高くなっています。
そのせいか、G列車の一等座は高級感あふれる(?)赤色のシートになっています。
でも、乗り心地は全く変わりません(^^;
そして、G列車の一等座に乗ると、水とお土産がついてきます。
中身はどうでもいいお菓子類です。(これがあとで非常食として役に立つのですが…)
G列車の通る哈大旅客専用線(哈大客运专线)は、新たに開通した路線なので民家の少ない農村部を通っているのが特徴です。
前日のハルビン到着から移動続きでバタバタしていたところに、この青々とした小麦畑を眺めるのはなかなか気分の良いものです。
時折表れる農村集落を見ては、あそこにはどんな人が働いているのだろうなどと思い巡らしていました。
18時25分、列車は定刻通りにハルビン西駅に到着しました。
ここからバスを乗り継いでホテルに帰ります。
夏の東北農村部は景色がきれいですよ
中国各地に高速鉄道が開通して、列車の旅もずいぶんしやすくなりました。
ずいぶん前に硬座(硬座)で北京から西安まで旅したことがありますが、それと比べるまでもなくかなり快適になっています。
夏の東北地方農村部は雄大な景色が広がって、車窓を眺めているだけでも癒やされます。
オススメは一等座の窓側席(靠窗户)、静かにくつろぎながら中国鉄道の旅、いかがですか?