九份と聞くと―ノスタルジックな街並みが広がる風情豊かな土地。
日が暮れると赤いランタンのほのかな明かりが美しく、ジブリのアニメ『千と千尋の神隠し』にも似た雰囲気も広がる風光明媚な場所…
そんなイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。
実際ガイドブックなどでもそう紹介されているので間違いではないです。
晴 れ て い れ ば 。。。
ガイドブックなどの解説は恐らく天気が良い時が前提となっている場合が多いと思うのですが、ここはせっかくですから九份で「ガチ雨」に遭遇してしまった私の経験から、雨の日の九份の楽しみ方を紹介しようと思います。
雨の日の九份を楽しむための服装
天気予報などで事前に雨が予想されている場合は必ず雨具を持って行きましょう(ガイドブックによると九份は雨が多く天候も急変しやすい所のようなので、晴れていても念のため雨具を用意していった方が良いらしいのですが)。
折り畳み傘と雨ガッパ、両方用意していった方がいいです。
…とここまで読んで、「そもそも人の多い観光地、傘なんて差したら他の人のジャマじゃない?雨ガッパだけでいいでしょ」とお思いの方、いらっしゃるかもしれませんが(実は私も最初そう思って雨ガッパだけで行動しようとしてました)
甘い…甘いです。
初めて行く人の場合、ガイドブック片手に現在地やこれから行く場所をチェックしながら歩く場合が多いと思うのですが、傘がないと、ガイドブックがこうなります。
しかもなかなか乾きません(泣)。
きちんと傘を差して、大切なガイドブックを死守しましょう。
傘があれば雨ガッパがなくても良さそうなものですが、風が強いと服やかばんが雨でぬれます。
人も多いので、すれ違った人の傘から落ちた雨粒や、相手の人が着ている服やカッパに着いた水滴で服がぬれて身体も冷えるので、風邪予防のためにもしっかりカッパを着て行きましょう。
冬場は特にお互い着ているものが分厚く、乾くのに時間がかかりますしね。
どんな雨ガッパがおすすめ?どこで買える?
ちなみに私は日本の100均で売ってるポンチョ風の雨ガッパを持って行ったのですが、アレはやめておいた方がいいです。
袖がひじまでしかないので、ひじから先がぬれるし下がフワッとしているので、風にあおられて中に雨が入ってきます。
足元もかなりぬれるので、雨の日用の靴カバーも持って行くといいでしょう。
雨ガッパや靴カバーは台北市内や、九份のコンビニで購入することもできます。
九份の最寄のバス停「九份老街」の近くにある「基山観海亭」という展望台の少し手前にコンビニがあり、そこで雨具一式を買って着ている観光客も結構いました。
カッパや傘以外に用意しておくといい物
せっかく買ったお土産がぬれないよう、雨よけバッグカバーやビニールの買い物袋も余分にあるといいかもしれません。
台湾のお店は日本と違って言わないと袋をくれないので(ちなみに有料です)、もらい忘れると品物がぬれるし、もらった袋が紙袋だと雨の日は当然こうなります。
雨が降ってるとさすがに出足がにぶるのでは?と思いがちだけど、そんなことは全然ないです。
何せ有名な観光地、地方や外国からの観光客はここに来るためにわざわざ予定を合わせている人もいます。
今回は日本は年末年始、台湾も連休だったせいもあってか団体観光客も含めたくさんの人が来ていました。
韓国からの観光客も大勢来ていましたね。
九份への行き方
台北市内から九份への行き方を簡単に説明します。
台北市内から九份への行き方は大きく分けて2通りあります。
- 「捷運忠孝復興站」または「捷運西門站」バス停からバスで行く方法
- 台鉄の台北駅から瑞芳駅まで鉄道で行って、そこからタクシーまたはバスに乗る方法
バスで行く場合は「九份老街」で下車するのが便利だと思います。
行き方はこちらのブログさんで詳しく紹介されているので、参考にさせていただきました。
「ぺたぺた台湾とりっぷ-九份の行き方 – 電車 タクシー バス 料金・注意点 1」
今回私は、台北駅→瑞芳駅→バスで「九份老街」下車、のルートを採用しました。
台鉄の切符は現地の鉄道駅の窓口や券売機で買うこともできるけれど、台鉄のHPから事前に予約購入することも可能です。
今回はただでさえ年末年始で日本人観光客も多い中、台湾も連休のど真ん中(2018年12月31日)なのできっと鉄道利用者多くて直接窓口に行っても目当ての時間帯の席取れないかもしれない、と思ったので台鉄のHPから事前に予約購入しました。
台鉄のHPから事前に予約購入する方法
台鉄の切符のオンライン予約の仕方・発券の仕方はこちらが詳しいのでご紹介させていただきますね。
オンライン購入の際の注意点
オンライン購入の際の注意点は
- 手元にパスポートとクレジットカードを用意しておく
- 予約番号(中国語:電腦代碼)は切符の購入・発券の際必要になるので忘れずにメモ
の2点です。
九份に着いたら「基隆街」でお買い物を楽しもう!
さて、「九份老街」に着いたら、九份のメインストリートの1つ「基隆街(ジーロンジエ)」に向かいます。
もう1つ「豎崎路(シューチウルウ)」というメインストリートがあるのですが、「基隆街」の方が「九份老街」から近いので行きやすいです。
入口はちょっと分かりにくいんですけど、バス降りた後道路沿いに行くと赤いランタンと小さなお店が沢山の軒を連ねている路地があります。
そこに入ればOK。(すぐ手前にセブンイレブンがあるので、セブンを目指して歩いていると分かりやすいかも)
中はこんな感じです。
お土産屋さんや食べ物の屋台が沢山あり、ガイドブックなどでは「食べ歩きを楽しみながら、お土産探しを楽しもう♪」って書いてあるのですけど…
傘で片手ふさがってるし人多いし道は狭いし、みんな傘差してて歩きにくいし…
正直、人の流れに逆らわないようにお店の看板とガイドブックを見ながら現在地を確認するので精一杯で…
食べ歩きはもとより、とてもじゃないけどフラッとその辺のお店に入ってお土産探索したりなんてできるような状況じゃありませんでした。
天気の悪い日はあらかじめ行きたいお店を決めておいて、ひたすらそこを目指して歩いて行った方がいいかもしれません。
というわけで、「どうしてもこのお店だけは行きたい!」というところに行ってきました。
おすすめのチョコレート屋さん「菓風小舗」
「菓風小舗」というチョコレート屋さんです。
九份は日本統治時代、金鉱で栄えていたため、このお店では金塊や石炭をモチーフにしたチョコレートを売っているんです。
パッケージもなかなかおもむきがあります。
中身はこんな感じ。
「菓風小舗」は台北の西門や台中市他、デパートなどにもお店を出していますが、金鉱・石炭チョコがあるのはこの九份店だけなのだそうです。
「基隆街」で掘り出し物を見つけてみよう
「基隆街」ではお店の呼び込みも盛んに行われています。
日本語のポップも視界にチラチラ入ってくるし、道の両脇から「○○あるよ~」「○○おいしいよ~」と日本語で呼びかけられると、「雨降ってるし人多いし、目当てのお店だけ行ってさっさと帰ろう」と思っててもついつい反応してしまうかもしれません。
そんなときは人の流れが途絶えたすきに…
もしくはラッシュ・アワーの人ごみで培った人の間をぬうように進むあのスキルを存分に生かして(?)
声のするお店にぜひ行ってみてください。
きっと来る前にはノーマークだった、思いもよらない掘り出し物が見つかるかもしれませんよ?
こちら、私がお店の人の呼び込みに負けて買ってしまった「小鳳梨酥(一口パイナップルケーキ)」。
完全に衝動買いだけど結構気に入っています。
「九份ならではのお土産」とはちょっと違うかもしれませんが、
「鳳梨酥食べたいんだけどちょっと大きいな~。なんかこう、小腹が空いたときにちょこっと食べられるサイズがあるといいのに~」
という人におススメです。(個包装にもなっているので、バラマキ土産にもいいかも?)
雨の日の「基隆街」気になる眺望は…?
「基隆街」は緩やかな坂道を登っていく感じで、お店の並びが切れると見晴らしの良い展望台に出ます。
ガイドブックによると山と海が望める絶景ポイントらしいんですけど、雨が降っているとまぁ…残念ながらこんな感じです。
期待していた景色は見れなかったけど、茶坊のランタンの赤い光が曇天に映え、山に漂う雨雲がまるで白い雲海のようにも見えてそれはそれで幻想的だったと思います。
「豎崎路」で街並みと郷土料理を堪能しよう!
「基隆街」探索が終わった後は、もう1つのメインストリート「豎崎路」へ向かいます。
来た道を少し戻ると石段の続く下り坂があり、そこが「豎崎路」です。
この石段が「豎崎路」のウリらしいんですけど…階段状になっている分「基隆街」より歩きにくいです。
雨で足元ビチャビチャなので、滑らないように慎重に降りて行きます…。
「基隆街」は小さなお土産屋さんや屋台がたくさん軒を連ねていたけれど、「豎崎路」は石段の両脇に中国茶や台湾料理を提供してくれる茶藝館やレストランが並んでいます。
おもむきのある木造建築に赤いランタン…と「これぞ九份!」という景色に出会えるところです。
石段の中ほどには映画『非情城市』の撮影に使われたお店(茶藝館&レストラン)もあります。
「昇平戯院」でひと休み
石段を降りたところにある広場。
夜になってライトアップされるととてもきれいなんだとか。
この広場にある「昇平戯院」は、1934年、ゴールドラッシュに九份が沸いていたころに建てられた映画館で、私イチオシの「雨宿りスポット」です。
無料で開放されているから誰でも入ることができます。
何より屋根があるのがありがたいです。トイレもあるし。
当時の映画のポスターやチケットなど見ながら、ホールの椅子に腰を掛け、荷物整理をしたり疲れた足を休ませることができます。
当時の映画館のレトロな雰囲気に包まれて、ちょっとホッコリです。
ガイドブックによると昔の映画も上映されているとのことだったんですけど、今回は時間外だったようで映画の上映はされていませんでした。
なお、ガイドブックには「豎崎路」にある茶藝館やレストランの説明に「窓からは海が見渡せる絶景が広がる」と書かれていますが、雨の日は海は見えませんのでご注意を。
「九戸茶語」で九份名物を堪能しよう
「昇平戯院」から出た後、「九戸茶語」というレストランに行きました。
窓から見えた景色はこんな感じです。
晴れていれば赤枠の部分に海が見えるらしいのですが…。
九份のレストランで出されるお食事はどれも九份や台湾を代表する料理ばかり。
とはいえ、ここは目の前に広がる九份の街並みを堪能しつつ、お店自慢の料理を全身で味わい尽くしましょう。
こちらは「九戸茶語」で注文した「黃金套餐(黄金セット)」
このお店で一番人気のセットらしいです。
九份名物タロイモ団子の甘煮に骨付き肉の入ったスープ、地元で採れたお魚を使った蒸籠蒸しごはんetc.etc….。
雨で冷えた体に、温かいスープが染みわたります;つД`)
終わりに
有名な観光地で一度行ってみたかった九份。
残念ながらガイドブックで紹介されているような絶景は堪能できなかったのですが、それでも十分おもむきは感じられたと思います。
日本統治時代、金鉱でにぎわっていた当時も雨の日はあったはず。
降りしきる雨に打たれながら、このどんより曇った空の下で働き、日々を送っていた当時の鉱夫達に思いをはせてみるのも、いいかもしれません。