海外旅行中、現金が手元になくなってしまって困ってしまった…
だれでもそんな経験はあるものですね。
でも大丈夫。旅行後半になって現金が足りなくなってきたら、クアラルンプール国際空港(KLIA)などにあるATMで日本発行のカードを使って両替ができますよ。
この記事では実際に現地のATMで両替した時の様子をレポートします。
マレーシアのATMはどこにある?
マレーシアでATMを探すのはそれほど難しくありません。
空港はもちろん、街中の銀行をはじめホテルやショッピングモール、ガソリンスタンドなどすぐに見つかるところにあるので安心です。
マレーシアのATMで使えるカードの種類は?
マレーシアのATMでは、日本で発行された「海外キャッシング機能付きデビットカード」や「海外キャッシング機能付きクレジットカード」を利用することができます。
海外キャッシング機能付きデビットカードとは、銀行キャッシュカードの右下にVisaやMasterCard、JCBなどの国際ブランドのマークが付いているものです。
ほとんどのクレジットカードには海外キャッシング機能が付いています。ただし、海外ATMで現金を引き出すためにはカードの「キャッシング枠」があらかじめ設定されていることが必要です。
「キャッシングなんてしないから」とキャッシング枠を0で申し込んでいたり、収入などの関係でキャッシング枠が設定されていない場合もありますので、海外旅行に出かける前には手持ちのカードのキャッシング枠を確認しておきましょう。クレジットカードのキャッシング枠が分からない場合は、カード裏面の電話番号に電話すると教えてくれますよ。
マレーシアのATMで使えるカードブランドの種類は?
手持ちのデビットカードやクレジットカードの表面もしくは裏面には、利用できるATMのブランドマークが描かれています。
例えば私の手持ちのイオンキャッシュ+デビット(Visaデビットカード)とイオンカード(Masterブランドのクレジットカード)には表面にそれぞれ「Visa」と「MasterCard」のマークが、裏面には「PLUS」と「Cirrus」のマークがあります。
最近のクレジットカードには裏面にマークがないものも増えているようです。
このマークのどれかがATMに掲示されているマークと合致すれば、そのATMでカードが使えるということになります。
とは言え、手持ちのカードがVisaやMasterCardブランドの場合は基本的にどこのATMでも使えると思って大丈夫です。
でも、もしJCBブランドのカードしか手元にない場合は、利用できるATMを探すのに苦労するかもしれません。
JCBブランドのカードの場合、裏面に「Cirrus」のマークがあるものとマークがないものがあります。
少し古いJCBブランドのカードには、裏面に「Cirrus」のマークがあることがあり、もし手持ちのカードの裏面に「Cirrus」マークがあれば、「Cirrus」対応のATMでカードを利用できます。CirrusはMasterCardが世界展開しているATMネットワークのブランドなので、基本的にはほぼ全てのATMが対応しているはずです。
しかし、最近になってJCBはCirrusとの提携を解除してしまったため、最近発行されたJCBブランドのカードには裏面に「Cirrus」のマークがない場合があります。そうなると、「JCB」のマークがあるATMを探さないといけません。
私が見ている限りでは、マレーシアでもかなりの割合のATMがJCBに対応しているように見えますが、Visa/Master/Plus/Cirrusとは違って「ほぼ全て」ではない、というところに注意が必要です。
もし手元にVisaやMasterCardブランドのカードがあれば、予備としてそれらのカードも旅行に持参することをおすすめします。
マレーシアのATMでお金をおろしてみた
ということで、さっそく日本のデビットカードを持って、マレーシアリンギットをおろしに行ってきました。
ATMにカードを入れる
「Please insert your card(カードを挿入してください)」という画面が表示されているのを確認してATMにカードを挿入します。
緑のランプが点灯している部分がカード挿入口です。
マレーシアのATMは性能が低いのか、反応が日本のよりも遅く感じて、少し焦ってしまうかもしれませんが、カードが使えなかったということもあるので確認のため、次の画面になるまで何も触らないようにしましょう。
ATMの言語を選ぶ
「Please select(選択してください)」と表示され言語の選択の画面になります。
3つの選択肢が出てきます。
「BAHASA MALAYSIA」はマレー語、「中文」は中国語、「ENGLISH」は英語です。
日本語表示はないので、ここでは「ENGLISH」を選択します。
マレーシアのATMはタッチパネルになっているものも多いのですが、やはり処理速度が遅いのかタッチパネルの反応が鈍いことがよくあります。タッチパネルにタッチしても反応がない場合、何度か強くタッチし直してみましょう。
日本のカードの暗証番号を入力する
「Please key in your PIN(暗証番号を入力してください)」と表示されます。
暗証番号を入力する際は、ATM下部にある10キーで入力します。
押し終わったら10キー右側にある緑の「ENTER○」ボタンを押します。
間違えた場合は黄色の「CLEAR」を押せば正しい番号を入力し直すことができます。
「引き出し」操作を選ぶ
「SELECT TRANSACTION(取引内容を選択)」と表示されたら、「CASH WITHDRAWAL(現金引き出し)」を選択します。
海外カード利用についての注意事項の確認
私が今回の取材で利用したATMでは次のような画面が表示されました。
ATM利用手数料に関する案内のようです。「この取引を行うとお客様の口座からATM利用手数料が引き落とされます。ATM手数料についてはお手持ちのカードのWEBサイトからご確認ください」。という内容です。
この案内については特に問題はないので「PROCEED(継続)」を押して先に進めます。
海外ATM利用時のATM手数料
海外のATMを利用する際に発生するATM利用手数料には、2種類の手数料が存在します。
1つめは、手持ちのカード会社(もしくは銀行)側が徴収する①日本のカード会社側ATM利用手数料です。日本のカード会社の場合、利用1回あたり無料・110円・220円のいずれかであることが多いです。
これは「どのカードを使うか」で決まってくる手数料となるので、この手数料を節約したい場合は「海外ATM利用手数料が安い」カードを作ることで節約ができます。
2つめは、現地のATM会社が徴収する②現地ATM会社の利用手数料です。言い換えると「どのATMを使うか」で変わってくる手数料ということになります。
ちなみに今回利用したATMの説明も少し分かりづらいですが、「ATM手数料についてはお手持ちのカードのWEBサイトからご確認ください」という表現から、ここで案内されているのは①日本のカード会社側ATM利用手数料であること、②現地ATM会社の利用手数料は徴収されないようだ、ということが分かります。
カードの種類を選ぶ
「SELECT SOURCE ACCOUNT」の画面では、取引口座を選択します。
クレジットカードでキャッシングする場合は「CREDIT(クレジットカード)」を選択します。
国際キャッシュカード、デビットカードで預金を引き出す場合は「SAVINGS(預金)」を選択します。
引き出し金額を選ぶ
「ENTER WITHDRAWAL AMOUNT(引出し額の入力)」と表示されたら、引き出したい金額を入力します。
このATMでは任意の金額を入力する方式のようです。
今回の取材とは別の日に利用したATM(CIMB銀行のATM)では、海外でよく見るあらかじめ決まった金額の選択肢から選ぶタイプでした。
マレーシアのATMで、この任意の金額を入力するATMに当たってしまった場合、注意点があります。それは「補助単位のセン(sen)の桁まで入力する」ことです。
マレーシアにはリンギット(RM)という通貨の単位の他に、利用頻度は低いもののセン(sen)という補助単位があります。100セン=1リンギットの関係です。
それで、マレーシアのATMで引き出す金額を入力する場合、例えば50リンギット引き出す場合は「5000」と入力する必要があります。(小数点の入力は不要です)
それを知らずに「50」と入力すると「50セン(=0.5リンギット)」という意味になってしまい、「その額では引き出せません」とエラーになってしまいます。
ちなみに、マレーシアの通貨の単位はマレーシア国内では「RM」と表記されますよ。また「リンギット」のマレーシア現地での実際の発音は、最後の「ト」は発音されず「リンギッ」のような発音になります。マレーシア在住の日本人のSNSなどでは「リンギ」と書いている方も多くいますね。
入力後、金額が正しく表示されているか確認してから画面の「PRESS IF CORRECT」の部分、もしくは手元のキーボードの「ENTER」を押します。
ATM取引レシートを発行するかを選ぶ
「DO YOU REQUIRE A RECEIPT?(レシートを発行しますか?)」と表示されます。「YES」を選択しましょう。
トラブルが発生した時にはレシートが証明書になるので、忘れずに発行するようにしましょう。
ATMからカードを受け取る
カードを忘れずに受け取ります。
マレーシアのATMでは、カードが取り出し口に出てきてからしばらく放置していると、カードがまた中に戻ってしまう(俗に「カードが飲み込まれる」)ようになっています。
ここはカードが出てきたらすぐに取り出すように注意しておきましょう。
マレーシア・リンギットの現金を受け取る
カードを取り出すとマレーシア・リンギットの現金が現金取り出し口から出てきます。(このあたりの順序はATMによって若干ことなります)
通常は50リンギット紙幣で出てくるのですが、まれに10リンギット紙幣も混ざって出てくることもありますよ。
スリに狙われやすいタイミングですので、後方に気を付けましょう。ATM備え付けのバックミラーか、振り返って目視するのも有効です。
ATM取引レシートを受け取る
レシートが出てきます。
トラブルが起きた場合のため、レシートは大切に保管しておきましょう。
文字が消えてしまわないよう、印字面を内側に折って保管するのがおすすめです。
ATMの提示する悪質両替レートに要注意!
今回の取材とは別の日に、マレーシアのCIMB銀行のATMを利用しました。
操作を進めていると、途中でこんな長文のメッセージが表示されました。
なんとなくスルーしてしまいそうになりましたが、野生の勘(?)でよく読んでみることに。
読んでみて気づいたのが、これは海外ATMで時折見かける「ぼったくりレート両替」機能の案内でした。
ちょうど良い機会でしたので、注意喚起の意味も込めてこの悪質ボッタクリ両替のからくりを説明しますね。
まずは、この画面に書いてあることを日本語に訳してみるとこうなります。
PLS SELECT CURRENCY TYPE(通貨タイプを選択してください)
CASH WITHDRAWAL(引出し額):RM50.00
EXCHGE RATE(両替レート) RM1=¥28.89264
TRANS AMOUNT(取引総額):¥1,445.00
MAKE SURE YOU UNDERSTAND THE COSTS OF CURRENCY CONVERSION AS THEY MAY BE DIFFERENT DEPENDING WHETHER YOU SELECT YOUR HOME CURRENCY OR THE TRANSACTION CURRENCY.
(この画面で自国通貨もしくは現地通貨のどちらかを選択することにより、両替コストが異なることを理解してください。)CHARGE IN MYR(マレーシア・リンギットで請求)
CHARGE IN JPY(日本円で請求)
なんか説明が長いし分かりにくいし、でも日本人だから「JPY」って書いてある方が正しいのかなとか思ってしまいがちですが、そこが彼らの思うツボです!
この2つの選択肢、もう少し噛み砕いて解説するとこうなります。
- CHARGE IN MYR ⇒ ATM設置銀行がカード会社にマレーシア・リンギットで請求、カード会社が所定の両替レートで精算して引き落としする。
- CHARGE IN JPY ⇒ ATM設置銀行が画面に表示されている両替レートで精算して日本円でカード会社に請求、カード会社は請求額をそのまま引き落としする。
そして、このタイプのATMのカラクリは、「画面に表示されている両替レートがぼったくりレート」であることなんです。
ぼったくりと言っても詐欺とまでは言えないぐらいの上乗せ額で、おおむね日本で両替する時のレートぐらいなのですが、それでもせっかく現地ATMでお得に両替したかったのに不利なレートで両替されるのは非常に気分が悪いですね。
もし利用したATMでこのような表示が出たら、「マレーシア・リンギットでの取引(CHARGE IN MYR)」を選択すれば大丈夫です。
ATMによってはこのように悪質なレートで日本円に換算してから請求するものがあるので、注意してください。
トラブル発生!ATMから現金が出てこない!
今回の取材とは別の日に、マレーシアのCIMB銀行ATMでリンギットを引き出そうとしたところ、現金が出てこないトラブルに遭遇してしまいました。
マレーシアのATMでは通常、ATMの操作が終わると、カード、現金、レシートが順番に出てきますが、この時はカードとレシートだけが出てきて、現金は出てこなかったのです。
この時に出てきたレシートには金額の記載がなく、「UNSUCC AUTHORIZATION(認証に失敗しました)」と印字されていました。
ATMから現金が出てこなかった時の対処方法
残念ながらマレーシアのATMで現金が出てこないトラブルは珍しくなく、私自身もこのトラブルに遭遇したのは、これで3回目でした。
今回のケースはすぐに口座に返金が確認できましたが、以前には『取引無効』とレシートにあってもしばらく返金されない場合がありました。
その際に銀行(カード会社)とやり取りした際に、以下のように教えてもらいました。
ATMから現金が出てこない時の手順
- 現地銀行側での処理が終わるまでしばらく(数日間)待つ
- 現地銀行で手続き無効の処理が終われば自動的に口座に返金される
- しばらく待っても返金されない場合は、現地の銀行に出向き、返金請求手続きをする
ちなみにこれまで私が遭遇した3回の「ATMから現金が出てこない」トラブルはすべてCIMB銀行ATMで起きています。CIMB銀行のATMは割高なレートで両替させようとしたりと、私の中ではあまり良い印象がない銀行です。
マレーシアのATM利用時に注意すること
両替する日の為替レートを確認しておく
検索エンジンで「マレーシア・リンギット レート」などで検索して、その日のおおまかなレートを確認しておきましょう。悪質なレートを提示されてもそれに気づいて防止できます。
ちなみに、マレーシア在住のわたしがこれまでATMを利用していて、悪質なレートを提示する画面に出会ったのはCIMB銀行のみです。RHB銀行、May銀行、PUBLIC銀行のATMでは通常のレートでの取引のみでしたので安心して利用できますよ。
必ずレシートを受け取るようにする
問題が起きた時の証拠のひとつになります。レシートがないと何も証明する手段がありませんから発行する癖をつけておきたいものです。
周囲の防犯を確認する
後ろに怪しい人がいないか、暗証番号を覗き込んでいる人がいないかなど、毎回確認しましょう。
犯罪者も、防犯に用心している人だと分かれば敬遠してくれるので、防犯にも役立ちます。
マレーシアのATMで両替すればとても便利でお得です。
マレーシアの現地ATMは日本語での案内がないので、少しドキドキするかもしれませんが、慣れてしまえばとっても簡単・便利にマレーシア・リンギットへの両替ができるようになりますよ。
しかも、レートも日本で両替するよりはかなりお得に両替できるので、一石二鳥です。
日本とは違う点もいくつかあり、注意が必要なこともありますが、マレーシアの海外現地ATMを上手に利用してマレーシア旅行をお得に楽しんでくださいね。