チャイナモバイル対応スマホHuawei Mate9は中国出張に使えるか試してみた

この記事は2017年に公開された記事を再構成したものです。記事の内容が古くなっている可能性があります。

中国出張を成功させる必須アイテムと言えば、SIMカードを差し替えれば中国でも日本でもすぐに使えるSIMフリースマートフォンです。

中でも、エリアや速度の点でメリットの多い中国移動(チャイナ・モバイル)対応のSIMフリースマートフォンがいいのですが、日本で発売されているスマホで中国移動に対応しているものは非常に少ないのが現状です。

そんな中、昨年後半に発売になったファーウェイのMate9というAndroidスマートフォンが中国移動にも完全対応しているということなので、購入して実際に試してみることにしました。

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DASHi@わーとら!管理人

旅ブロガー。中国地方の某県を拠点に、のんびり地方暮らしをしつつ業務やプライベートで海外と日本を行ったり来たりする日々を続けて20年、行った旅行先はアジア~北米・ヨーロッパを中心に20ヶ国以上になります。このブログでは旅から気づいた情報を発信しています。本業はフリーランスのソフトウェアエンジニア、趣味は海外鉄道の乗り歩き。

日本ではチャイナ・モバイル対応スマホの選択肢が非常に少ない

以前の記事でも書いたことがあるのですが、中国移动(チャイナ・モバイル)は携帯電話の周波数が特殊なため、日本のスマホでこれに対応しているものは非常に少ないのが現状でした。

iPhoneシリーズはiPhone6ぐらいから中国移動の周波数にも対応しているので、iPhone7を買えばいいという意見もあるんですが、いろんな事情でそうもいかない(そうしたくない)人も多いでしょう。

1年以上前に「中国移動でも使えるAndroidスマホ」という記事を書いて、今もそこそこ読まれていることからも、Androidスマホを中国移動でも使いたいと思っている人はかなりいるようですが、残念ながら、この記事で紹介しているほとんどの機種がすでに販売終了しています。

私も、Huawei社製のAndroidスマートフォン Honor6 Plusをしばらく使っていたのですが、不注意で落下させてしまって本体にヒビが入ってしまいました。今のところとりあえず使えてはいるものの、いつ動かなくなるか不安を抱えながら使うのも精神衛生上あまり良くありません。

チャイナ・モバイルで使っている周波数

中国移動(チャイナ・モバイル)では、4G LTEにBand39(B39:1.9GHz/1900MHz), Band40(B40:2.3GHz/2300MHz), Band41(B41:2.5GHz/2500MHz)の3つのバンドを使っています。中国移動(チャイナ・モバイル)ではこの3つのバンドを、Band41がメイン、郊外や農村部ではBand39、屋内用にBand40と使い分けています。

資料によっては、中国移動(チャイナ・モバイル)4Gの周波数をBand41ではなくBand38としているものもあります。Band38とBand41は同じ「2.5GHz帯」のために誤解が生じたようです。中国移動に割り当てられているのは2575MHz-2635MHzで、Band38(2570MHz-2620MHz)ではなくBand41(2496MHz-2690MHz)に当たります。

また、農村部やビルの谷間や地下など、一部の4G非対応エリアでは3Gに切り替わることがありますが、中国移動の3Gは「TD-SCDMA(Band34)」という、世界でもまた珍しい周波数です。

それで、TD-SCDMA未対応のスマートフォンを中国移動(チャイナ・モバイル)の3Gエリアで使うと、通信速度の非常に遅い2G(EDGE/GSM)になってしまいます。

まとめると、日本で発売されているスマホを中国移動(チャイナ・モバイル)でも快適に使うには、TD-LTE(Band39, Band40, Band41)とTD-SCDMAの4つの周波数に対応している必要がある、ということになります。

ファーウェイからチャイナ・モバイルに完全対応のMate9が発売!

さて、昨年秋に発表されたHuawei(ファーウェイ)の最上位機種、Mate9がどうやら中国移動(チャイナ・モバイル)に完全対応しているらしいという話を聞きました。

ただ、この場合に気をつけないといけないのが、本国版では対応していても(ファーウェイは中国のメーカーなので当たり前ですが)、日本版では対応周波数が削られている場合があるということです。

ということで、ファーウェイの日本語公式サイトから、日本版の対応周波数を確認してみると、日本版Mate9は確かに中国移動(チャイナ・モバイル)の4G/3G/2Gすべての周波数に対応していました。

P9/P9 lite/novaなどはチャイナ・モバイル(一部)非対応なので注意が必要です

同じくファーウェイ製スマホのP9やP9 lite、それにnova liteは対応周波数がMate9よりも少なく、中国移動(チャイナ・モバイル)では使えないか、もしくは使えたとしても機能が制限されてしまいます。

  3G TD-SCDMA 4G TD-LTE
  B34 B39 B40 B41
Mate9
P9
P9 lite
nova

中国電信(チャイナ・テレコム)は4G LTEに関してはBand3を使っているものの、3GエリアではCDMA2000を使っているため、使えるSIMフリースマートフォンが限られてきますが、Mate9はこの両周波数に対応しているため、<span class=”marker-under bold”>Mate9は中国電信(チャイナ・テレコム)でも使えると思われます

一見、どの機種でもBand40(B40)には対応しているため、ある程度は使えるのでは?と思ってしまいますが、中国移動(チャイナ・モバイル)ではBand40は一部の施設において屋内専用に使われているだけのバンドのため、Band40にだけ対応していてもほとんど使い物にはならないでしょう。

P10/P10 liteはチャイナ・モバイルに対応する?

日本以外の国で既に発売されているファーウェイのP10ですが、P10の日本モデルが発売されたとして、中国移動(チャイナ・モバイル)に対応しているか、これは正直なところ分かりません。

ただ、ファーウェイの中では、スペック盛りだくさんなのがMateシリーズ、ファッション性+ハイスペックなのがPシリーズということなので、P9がチャイナ・モバイル対応しなかったように、P10/P10 liteのチャイナ・モバイル対応はあまり期待しない方がいいのかもしれません。

Mate9を実際に中国で使ってみた

ということで、スペック上はMate9は中国移動(チャイナ・モバイル)で使えそうだということが分かったので、実際に購入して試してみることにしました。本当は発売すぐに試せると良かったのですが、今年は4月に入るまで中国に行く機会がなかったので検証がしばらくおあずけに。

Mate9は背面ケースも画面保護フィルムも付いているので、わざわざ別に買わなくてもいいのが助かります。

買ってから気づいたのですが、Mate9はUSB端子がUSB-Cなんですね。

microUSB端子との変換コネクタもついているのですが、小さいものはすぐなくしてしまう私は素直にUSB-Cケーブルを使おうと思っています。私は断線した時のために予備のUSB-Cケーブルを買っておきました(ちなみに購入して4ヶ月が経ちますがまだ断線はしていません)。

さて、Mate9を中国で使う話に戻しますが、私はいつも短期の中国滞在なので、ネット規制回避も兼ねて中国移動香港(CMHK)SIMを使っています。

このSIMは日本amazonで約2000円で購入でき、10日間1.5GBまで中国のネットが規制なしで使えるかなり優れもののSIMです。

さて、このCMHK SIMを使って、4月上旬に上海と広州で実際に試してみたところ、どちらの都市でも問題なく使用することができました。

速度も下り約13Mbps、上り約4Mbpsと普段使いには全く問題ありませんでした。

中国出張が多いAndroid派の方に、ファーウェイMate9、かなりオススメできます。

Huawei 5.9型 Mate9 SIMフリースマートフォン ムーンライトシルバー/51090YMG 【日本正規代理店品】 MATE9/SILVER

Mate9はチャイナ・ユニコム/チャイナ・テレコムでも使えるか

ついでに、ファーウェイMate9が中国聯通(チャイナ・ユニコム)や中国電信(チャイナ・テレコム)でも使えるかも見ておきましょう。

中国聯通(チャイナ・ユニコム)が使っている周波数は、Mate9にかぎらず、P9/P9 lite/novaのいずれも問題なく対応しています。

3G UMTS(WCDMA)4G FDD-LTE
B1B3
Mate9
P9
P9 lite
nova

中国電信(チャイナ・テレコム)は4G LTEに関してはBand3を使っているものの、3GエリアではCDMA2000を使っているため、使えるSIMフリースマートフォンが限られてきますが、Mate9はこの両周波数に対応しているため、Mate9は中国電信(チャイナ・テレコム)でも使えると思われます

3G CDMA20004G FDD-LTE
BC0B3
Mate9
P9
P9 lite
nova

デュアルSIM対応で中国出張中も日本の電話番号が使える

Mate9はSIMを2枚入れることができます。そして、2枚同時に3G待ち受けできる、「DSDS(双卡双待)」に対応しています。

つまり、中国出張の間も日本の電話番号にかかってくる電話を受けたい場合、これまでは携帯電話を2台持ち歩かないといけなかったのが、Mate9なら1台で日本と中国両方のSIMカードを活かしておけるということなんです。

もちろん逆もそう、中国在住の方が日本に一時帰国する際、(国際ローミングの契約は必要ですが)中国の電話番号は活かしたまま、日本のプリペイドSIMなどを挿して日本のインターネットにも繋げられるんです。

これって地味に便利、だと思いますよ。

Mate9はdocomo/au/ソフトバンク/格安SIMで使える?

さて、Mate9はかなりスペックのいいスマホなので、できれば日本でも使いたいと思う方も多いでしょう。

ということで、Mate9と日本国内のバンドの対応状況もまとめておきたいと思います。

docomo/docomo系MVNO(格安SIM)

まずはdocomoやdocomo系MVNOの使用するバンドへの対応状況です。

楽天モバイル、OCN モバイル ONE、IIJmio、mineo(マイネオ)、BIGLOBE SIMなどのいわゆる「格安SIM」はほとんどがdocomoの周波数(バンド)を利用しています。

下の表を見るとMate9はdocomoやdocomo系MVNO(「格安SIM」)との相性が非常にいいことが分かります。

私も実際に日本でMate9にdocomo系のSIMを挿して使っていましたが、非常に快適に使えていました。

  Mate9
3G B1
B19(B6)
4G B1
B3
B19
B28

*1 docomoが使用しているバンドは他にもいくつかあるのですが、表が見にくくなるため主要なバンドに絞っています。例えばBand21(B21)などはdocomo独自のバンドのため、SIMフリースマートフォンで対応している機種はほとんどないのが現状です。

au/UQ Mobile等

Mate9とau系バンドの対応も表に一応まとめてはみましたが、そもそも公式サイトに「本端末はKDDIの移動体通信網を利用した通信サービスには対応しておりません。」と明記してあるので、ほとんど期待しない方がいいでしょう。

ちなみにMate9のCDMA2000は「チャイナ・テレコムのCDMA2000のみに対応」だそうです。auのCDMA2000はちょっと特殊なので、残念ですがしょうがないですね。

  Mate9
3G CDMA2000
4G B1
B11
B18
B28
B41

「P9 lite PREMIUM」と「nova」の2機種は、auの周波数に対応させたバージョンがUQ モバイルで取り扱われています。

Softbank/Y!Mobile等

Mate9はソフトバンク/ワイモバイルの4Gバンドに全て対応しているため、Mate9をY!mobileなどのSoftbank系SIMで使うのもオススメです。

  Mate9
3G B1
B8
4G B1
B3
B8
B41

おまけ:カメラ機能もかなり優秀です

Mate9のカメラ性能については、多くのブログで紹介されていますが、私もすっかりMate9のカメラが気に入っています。

ダブルレンズのせいか、以前の機種よりもかなり暗所に強くなったように感じます。夜間の室内での料理の撮影などで失敗することが少なくなりました。

Mate9のカメラは照明の薄暗いディナーの撮影にも強い(クリックで拡大します)

2つのレンズの内1つが高解像度のモノクロセンサーとなっているため、かなり細かい描写も非常にくっきりと写し出します。

Mate9のLeicaレンズは細かいディティールもきれいに描写できる(クリックで拡大します)

Mate9のカメラの売りは、一眼レフカメラのようなボケ写真を撮れる機能です。私が以前持っていたHonor6 Plusにもこの機能はあったのですが、Mate9になって格段に性能が良くなりました。

Mate9カメラアプリのボケ機能は自然にボケるので使い勝手がよい(クリックで拡大します)

Mate9を購入してほぼ4ヶ月経ちましたが、大きな不具合もなく、すっかり手放せない1台になっています。

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