香港国際空港を経由して広東省など中国南部に入るには、様々なルートがありますが、どのルートにも一長一短があります。
今回はその中でも(ほぼ)ノンストップで目的地まで行けるというリムジンバス(乗り合いアルファード)を利用してみました。
香港国際空港から広東省各地への交通手段
中国の広東省へ向かう場合、香港国際空港を経由して行くという方も多いはずです。
香港へは日本各地から直行便が飛んでいますし、航空チケットもかなり格安に取れるので、計画を柔軟に立てることができるのが魅力ですね。
そうすると、次は香港からどうやって中国側に入るかということを考える必要が出てきます。
香港国際空港からほぼノンストップで広東省各地、広西自治区、福建省へ行けるリムジンバス「スカイリモ」
という訳で、今回は香港から広東省東莞市への移動手段としてリムジンバスを選択。(と言っても、私は着いていっただけですが)
一応「スカイリモ」という愛称(か会社名)があるらしいのですが、空港内外でその名称は見かけたことがなかったので、その名前は忘れた方がいいと思います(^^;
目指すは「往内地交通」
香港国際空港へ到着したら、T2(ターミナル2)にあるリムジンバスの乗り場へ向かいます。
香港空港の案内表示は漢字ですから安心、表示に従っていけば大丈夫です。
私たち日本人は香港・マカオ・台湾以外の中国を「大陸」とか「本土」とか言ったりしますが、香港では「内地」と言うようですね。
この日は到着したのが夜遅い時間だったこともあり、この看板をくぐると急に人気(ひとけ)が少なくなって一瞬不安になりました。
寂しい雰囲気の通路(ここは実はT2とT1の連絡通路です)をしばらく歩くと突き当たるので左に向かいます。
すると、リムジンバスの切符売り場が並んでいます。
カウンター毎に会社と行き先が違うようです。(参考:行き先別バス運行会社とチケット売り場)
リムジンバスの行き先(広東省内)
- 深セン(皇崗、深セン湾、沙頭角)
- 東莞
- 広州
- 佛山(仏山)
- 恵州
- 肇慶
- 江門
- 中山
- 梅山
- 珠海
- 陽江
- 雲浮
- 潮陽
- 河源
リムジンバスの行き先(広西チワン族自治区内)
- 南寧
- 桂林
リムジンバスの行き先(福建省内)
- アモイ(厦門)
- 泉州
- 三明
行き先を告げてチケットを購入
同じ路線を複数の会社が運航していることもあるようですが、料金はどの会社でもおそらく同じなので、好みのバス会社があるとかでなければカウンター周りにいる係の方に行き先を言えば(メモを見せれば)大丈夫でしょう。
行き先を告げて案内されたのは、「通寶巴士」という会社のカウンター。
ここでチケットを購入。
人民元、香港ドルどちらの支払いも可能なようです。
チケットを購入すると、胸のあたりにワッペンを貼られました。
これはどういうことかと思ったら、このリムジンバスは香港~国境(正確には国境ではありませんが、ここでは便宜上国境とします)を通過したところで乗り換えをするので、乗り換えで迷子にならないようにというワッペンだそうです。
そして、後ろにある乗り場の前で座って待つようにと指示されます。
ちなみに、この待合には何もお店がなかった気がしますので、小腹が空いているとか喉が渇いたとかの場合は、T1にいる間に買っておくのがオススメです。
しばらくすると、リムジンバスが外の乗り場に到着し、係員による案内があります。
「しばらく」というのが、発車時間は決まっていないらしく、人数が定員になると出発、ということのようです。ですから、リムジンバスと言うより「中国ゆき乗り合いタクシー」と言う方が適切かもしれません。
私たちの場合は、タイミングが良かったのか2分程度ですぐ発車になりました。
やってきたリムジンバスに乗り込みます。車種はトヨタのアルファード。
ですが、定員いっぱいの(運転手除いて)大人7人乗車ですので、いくらかの窮屈感は否めません。
アルファードは深夜の香港ハイウェイをひた走ります。
・・・というよりも爆走しています≧≦!
ちょっとでもスピードが落ちるとアクセルべた踏み!なのがさらに恐怖を煽ります…
香港出国ゲートに到着、出入国審査は車に乗ったまま
そんな運転にヒヤヒヤしていると、巨大な橋をしばらく走った後に巨大な料金所のようなところに到着しました。どうやらここが香港の出国ゲートのようです。
深セン市内の香港?
後から調べたところでは、ここは「深セン湾口岸」というところで、実は既に中国(広東省深セン市)に入っているのだとか。このゲートのために作られた特別な法律によって、ここまでが「中国だけど香港」という扱いになっており、それによって一つの場所で入出国両方の手続きができる「一地両検」が実現したそうです(参考:Wikipedia)。
この「スカイリモ」リムジンバスの特長は、出入国ゲートで車を降りなくて良いこと。
乗車時にパスポートと出入国の書類をドライバーさんに渡しておき、香港出国〜中国入国までドライバーさんが手続きを代行してくれます。
出入国書類は乗車前に書いておくとベター このルートを使う場合、出入国書類を爆走するアルファードの中で書く事になります。また車内は7人ぎゅうぎゅう詰めで、パスポートの出し入れもやりにくいので、乗車前に香港出国書類と中国入国書類を記入しておいて、パスポートに挟んでスタンバイしておくと良さそうです^^
香港出国時も中国入国時にも、私たちは車から一歩も降りる必要がありませんでした。(むしろ、無断で降りると面倒なことになると思います…)
海外旅行・出張であの出入国ゲートの行列や、国境部分の徒歩移動が面倒だなぁと思ったことのある方には、この「座ったまま出入国」がどれだけ楽かお分かりいただけるかと思います。
こうしたゲートを合計で3回通過しました。恐らく、香港出国・中国入国・税関審査だと思います。(ドライバーさん任せなので、本当のところはよく分かっていません)
乗ったまま出入国ということは係の人が車のドアを開けて車内をのぞき込むのかなと漠然と思ってましたが、意外にも省力化されていて驚きました。
「乗ったまま」出入国の流れ
国境エリアは撮影禁止なので、実際の様子を写真でお見せできないのが残念ですが、こんな流れでした。
・料金所のブースのようなところ(ブース内が見えないのが料金所とは違う)で車が停車 ・料金所のブースの小窓が開き係官が顔を出すと、ドライバーさんが全員分のパスポートを提出 ・アルファードの右ドアがウィーンと自動で開く。 ・ブースの投光器が車内を照らす(かなり眩しかったです)。 ・係官がブース内に座ったまま、一人ずつ名前を呼ぶ。 ・呼ばれた人はうなずくか軽く手を上げて返事して係官に顔を見せる。 ・全員の確認が終わると小窓が閉まり、しばらく待機。 ・しばらくすると小窓が再び開いて全員のパスポートが返却される。
何となく思ったのは、ブースからアルファードの3列目シートまではそれなりに距離があるので、係官はきっと視力のいい人を揃えてるんだろうなぁ、ということ。
税関審査はどうするのかと思ったのですが、ほぼノーチェックでした。
トランク開けての確認もなかったような気がします。これは徒歩や飛行機での入国時と同じく、様子を見て検査するかどうかを判断するのでしょうね。
ちなみにこの深セン湾口岸、深夜の時間帯でもかなり渋滞していて、待ち時間がそれなりにありました。時間に余裕をもって行動することをお勧めします。
さて、無事に3つのゲートを通過して中国に入国することができました。
車を乗り換えて最終目的地へ
ターミナルのようなところに到着したところで、アルファードのドアが開き、他の乗客の皆さんはぞろぞろと下車、ここから自力で移動する方たちでしょうか。ただ、私たちは「あんたたちは降りないで」と運転手さんに言われたのでそのまま車内で待機。
他の乗客を下ろしたリムジンバス(乗り合いタクシー)は、ジャンクションのような道路をグルグルと回って、数分後に別のターミナルに到着しました。ここで降りて指示を待つように言われます。恐らくここが乗り換えポイントなのでしょう。
どうやらここで、香港市内各地を出発してきた別のリムジンバスの乗客の到着を待つということのようです。
しばらく外をぶらぶらして月を眺めたり月を眺めたり月を眺めたり…していましたが、いい加減手持ち無沙汰になってきました。
運転手さんにいつ出発か聞いても「わしゃ知らん」とけんもほろろ。
時刻は既に夜も遅くなり、飛行機内では機内食が別料金でケチってカップラーメンしか食べなかったため、いい加減お腹が空いてきました≧≦
20分ぐらい待ったところで、他のお客さんたちも集まってきて、いよいよ出発できるようです。
車両は、さっきまでのアルファードからはグレードがちょっと落ちました。そしてディーゼル車なのでちょっとエンジン音がうるさかったですが、しょせん1時間弱乗るだけですのでそんなに気にはなりません。あ、後は中国に入ったので左ハンドルに変わりました(香港は右ハンドル)。
ここからさらに走ること約40分、現地の方との待ち合わせポイントに無事到着しました。
その日の予定があまりタイトでないなら、「車に乗ったまま出入国」は超楽チンです。
出入国の繁雑さでは(香港空港発)フェリーにはやや劣りますが、かなり本数が多いであろうこと、市内に到着する(フェリーは当然、港まで)ことを考えると、このリムジンバス、かなり使えると思いました。