中国移動(チャイナモバイル)で使えるSIMフリースマホを探してみた

この記事は2016年1月に公開された記事を再構成したものです。記事の内容が古くなっている可能性があります。

中国旅行や中国出張では、LINE, Twitter,Facebook, Gmail, Dropboxなどが使えないのが頭痛のタネですが、短期の中国旅行や中国出張なら「香港SIMでローミング」すればこの制限を簡単・確実に回避することができます。そこで、4G LTE接続が可能な中国移動香港SIMが使えるSIMフリースマートフォンについて調べてみました。

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DASHi@わーとら!管理人

旅ブロガー。中国地方の某県を拠点に、のんびり地方暮らしをしつつ業務やプライベートで海外と日本を行ったり来たりする日々を続けて20年、行った旅行先はアジア~北米・ヨーロッパを中心に20ヶ国以上になります。このブログでは旅から気づいた情報を発信しています。本業はフリーランスのソフトウェアエンジニア、趣味は海外鉄道の乗り歩き。

更新履歴

  • 2016/1/25 Nexus6Pを追加しました。
  • 2016/1/26 中国移動のTD-LTEバンドを訂正(Band38→Band41)しました
  • 2016/2/13 honor6 plusのTD-LTE Band41対応状況について追記しました。

中国旅行や中国出張で中国のネット規制を回避したい

中国旅行や中国出張では、SNSやストレージなどのサービスが自由に使えないことが意外とストレスになるものです。

長期滞在であればVPNという方法で回避することもできるのですが、最近ではこのVPNに対する規制も強化されていて、接続が不安定になることもしばしば。

短期の旅行や出張ではやはり確実につながる方がストレスも少なく、旅行期間(出張期間)を快適に過ごすことができます。

ということで、短期(1週間~10日間)の中国旅行や中国出張に行かれる方に私がオススメしているのは「香港SIMでローミング」です。

香港SIMでローミング

現在、この規制を回避できるSIMカードを発売しているのは、中国移動香港中国聯通香港の2社です。

どちらも社名の後ろに「香港」が付いているのがミソで、香港の企業ということになっているので、このSIMカードを中国に持ち込むと「国際ローミング」になるんです。

そして、中国のルールでは(今のところ)、国際ローミングではネット規制がかからないことになっています。

もともとは香港の携帯電話ショップで購入するものですが、日本のamazonで発売している業者から入手することができます。

どちらのSIMカードも、3000円前後と比較的入手しやすい値段です。

中国移動(チャイナ・モバイル)と中国聯通(チャイナ・ユニコム)

さて、今度はどっちのSIMカードを買うのが良いか、という問題になるのですが、ここで問題になるのが、中国移動と中国聯通の周波数問題。

国際ローミングでは中国移動香港のSIMなら中国移動の電波、中国聯通香港のSIMは中国聯通の電波を使いますから、それぞれの周波数に対応したスマートフォンを用意する必要があります。

一番お手軽なのは中国聯通香港のSIM

まず、とにかく簡単に規制を回避したい、という場合は中国聯通香港(チャイナ・ユニコム)のSIMを買っておけば大丈夫です。

というのも、中国聯通の使っている周波数(バンド)は、国際的に広く使われているUMTS Band1(2100MHz)とFDD-LTE Band3(1800MHz)となっていて、ほとんど全てのスマートフォンがこの周波数に対応しています。

ただ、今のところ中国聯通香港が発売しているSIMカードは3G専用で、速度が数Mbpsとそれほど高速でないのが難点です。

速度が遅いと言っても、WEBサイトを開いたり動画を見たりするにはさほど支障のない速度ですので、短期ならこちらでもほとんど問題はないと思います。

速度を求めるなら中国移動香港のSIMだが…

一方、中国でもLTE(4G)に接続したい。しかもネットの規制は回避したいとなると、中国移動香港のSIMが候補になります。

そこで困るのが、中国移動(チャイナ・モバイル)の使っている周波数。

中国移動は中国で最大のキャリア(携帯通信会社)なんですが、そのせいなのか(多分そうでしょう)使っている周波数が世界でも独特のものなんです。

それで、中国の外で販売されているほとんどのスマートフォンは中国移動の周波数に対応していないため、(SIMフリーであっても)この中国移動香港のSIMを使うことができません。

最近になって、中国移動方式の4G(TD-LTE)に対応したスマートフォンが少しずつ出てきて、状況が良くなりつつありますが、中国移動3G(TD-SCDMA)に対応しているスマートフォンはかなり限られています。

都市部の決まった場所でしか使わない(出張先で4Gが繋がることが確実な場合など)なら4Gのみ対応のスマートフォンでも良いかも知れませんが、移動の多い出張や旅行だと、3Gにも対応しているスマートフォンを用意したいところです。

中国移動の周波数を確認する

ということで、まずは中国移動(チャイナ・モバイル)の周波数を確認しておきます。

中国の携帯基地局タワー

中国移動の周波数

2G

GSM:900MHz, 1800MHz

3G

TD-SCDMA:Band34(2000MHz)

4G

TD-LTE:Band39(1900MHz), Band40(2300MHz), Band41(2600MHz)

注記:当初、中国移動のTD-LTE周波数をBand38と記載していましたが、Band41の誤りでした。中国移動に割り当てられているのは2575MHz-2635MHzで、これはBand41(2496MHz-2690MHz)に当たります。Band41はBand38(2570MHz-2620MHz)を内包したバンドです。

この周波数に対応しているスマホなら、中国旅行・中国出張中も規制を受けずに4G(LTE)が使えるという訳です。

日本で通常の方法で入手できるスマートフォンの中から、上の周波数に対応している機種を探してみました。

やっぱり、4Gも3Gもとなるとなかなか機種が限られてきますが、なんとか4機種を見つけたのでご紹介したいと思います。

2017/5/2追記: 以下で紹介している機種はほとんどが販売終了しています。AppleではiPhone7/iPhone7 Plus、AndroidではHuawei Mate9が中国移動(チャイナ・モバイル)に完全対応しています。 ・日本で買ったiPhone7/iPhone7 Plusは中国でも使えるのか調べてみたチャイナ・モバイル対応スマホHuawei Mate9は中国出張に使えるか試してみた

iPhone6s / iPhone6s Plus

photo by Sam Lin

価格:86,800円(16GB)~(アップルオンラインストア

まずは、以前にも記事にした(関連記事:iPhone6sは中国で使える?)iPhone6s / iPhone6s Plus。

値段はダントツに高いですが、他の機種を寄せ付けない対応周波数の多さで、中国移動にも完全対応しています。

iPhone6s / iPhone6s Plusの対応周波数

※赤字は中国移動に対応した周波数

2G :

GSM:850MHz, 900MHz, 1800MHz, 1900MHz

3G :

W-CDMA:850MHz(Band5), 900MHz(Band8), 1900MHz(Band2), 2100MHz(Band1)
CDMA2000:800MHz, 1700/2100MHz, 1900MHz, 2100MHz
TD-SCDMA:1900MHz(Band39), 2000MHz(Band34)

4G :

FDD-LTE:700MHz(Band12), 700MHz(Band13), 700MHz(Band17), 700MHz(Band28), 700MHz(Band29), 800MHz(Band18), 800MHz(Band19), 800MHz(Band20), 800MHz(Band27), 850MHz(Band5), 850MHz(Band26), 900MHz(Band8), 1700-2100MHz(Band4), 1800MHz(Band3), 1900MHz(Band2), 1900MHz(Band25), 2100MHz(Band1), 2600MHz(Band7)
TD-LTE:
1900MHz(Band39), 2300MHz(Band40), 2600MHz(Band38), 2600MHz(41)

Nexus6P

価格:実売で約60,926円~

次に、Google純正のNexus6P。Android派の人はこちらが第1候補になりますね。

NexusシリーズはこのNexus6Pだけが中国移動の周波数に全て対応しています。

周波数

※赤字は中国移動に対応した周波数

2G :

EDGE/GSM:850MHz, 900MHz, 1800MHz, 1900MHz

3G :

W-CDMA:800MHz(Band6), 800MHz(Band19), 850MHz(Band5), 900MHz(Band8), 1700MHz(Band4), 1700MHz(Band9), 1900MHz(Band2), 2100MHz(Band1)
CDMA2000: 800MHz, 1900MHz
TD-SCDMA:1900MHz(Band39), 2000MHz(Band34)

4G :

FDD-LTE:2100MHz(Band1), 1900MHz(Band2), 1800MHz(Band3), 1700/2100MHz(Band4), 850MHz(Band5), 2600MHz(Band7), 900MHz(Band8), 1700MHz(Band9), 700MHz(Band17), 800MHz(Band19), 800MHz(Band20), 700MHz(Band28)
TD-LTE:2600MHz(Band38), 1900MHz(Band39), 2300MHz(Band40), 2600MHz(Band41)

Zenfone 2 Laser 6インチ(ZE601KL) TW/JPモデル

価格:実売で約45,000円~(Amazon

Nexus6Pの次は、日本でもPCメーカーとしてよく知られているASUSのZenfoneシリーズからZenfone2 Laserの6インチモデル。

iPhone6sの約半額で買えるので、Androidで良ければこのモデルは十分選択肢になり得ると思います。

こちらも中国移動の周波数に全て対応しています。

Zenfone2 Laserについて、注意点が2つあります。

まず、Zenfone2 Laser(5インチモデル)は中国移動の周波数に対応していません。

また、Zenfone2 Laser 6インチモデルでも、ヤフオクなどで3万円ぐらいで売られているモデルは中国移動の周波数に対応していない海外仕様なので、注意が必要です。

周波数

※赤字は中国移動に対応した周波数

2G :

EDGE/GSM:850MHz, 900MHz, 1800MHz, 1900MHz

3G :

W-CDMA:800MHz(Band6), 800MHz(Band19), 850MHz(Band5), 900MHz(Band8), 1900MHz(Band2), 2100MHz(Band1)
TD-SCDMA:1900MHz(Band39), 2000MHz(Band34)

4G :

FDD-LTE:2100MHz(Band1), 1900MHz(Band2), 1800MHz(Band3), 850MHz(Band5), 800MHz(Band6), 900MHz(Band8), 1700MHz(Band9), 800MHz(Band19), 700MHz(Band28)
TD-LTE:2600MHz(Band38), 1900MHz(Band39), 2300MHz(Band40), 2600MHz(Band41)

周波数

こちらの記事(6月発売予定のhonor6 Plus、仕様変更でBand41非対応に)によれば、honor6 plusは日本のBand41には非対応なものの、中国のBand41には対応しているようです。

※赤字は中国移動に対応した周波数

2G :

GSM: 900MHz, 1800MHz, 1900MHz

3G :

UMTS: 2100MHz(Band1), 800MHz(Band6), 900MHz(Band8), 800MHz(Band19)
TD-SCDMA: 1900MHz(Band39), 2000MHz(Band34)

4G :

FDD-LTE: 2100MHz(Band1), 1800MHz(Band3), 2600MHz(Band7)
TDD-LTE: 2600MHz(Band38), 1900MHz(Band39), 2300MHz(Band40) ※中国のBand41には対応

まとめ:(日本で買える)中国移動に対応したSIMフリースマホはこの4台

そんな訳で、いちおう表にまとめてみましたが、上記の3機種はどれも中国移動の周波数に全て対応していることが分かりました。

これらの機種はもちろん、通常の方法で契約した(本土の)中国移動SIMでも使うことができますので、日本と中国両方で使えるスマホが欲しい、中国では中国移動を使いたい、という場合の選択肢にもなりますね。

中国移動iPhone6s iPhone6s PlusNexus6PZenfone2Laser 6インチTW/JP (ZE601KL)honor6 plus
価格86,800円60,926円~約45,000円29,800円 (台数限定)
GSM900MHz
GSM1800MHz
TD-SCDMA Band34 (2000MHz)
TD-LTE Band39 (1900MHz)
TD-LTE Band40 (2300MHz)
TD-LTE Band41 (2600MHz)△※

※Honor6 plusは中国移動のBand41にのみ対応

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