広東省の各地やマカオへ出かける際、香港国際空港(HKIA)へのフライトを利用して向かうことが良くあります。
そんな時、香港空港の「スカイピア」フェリーターミナルからフェリーに乗り継いで中国本土やマカオへ向かえば、香港の出入国審査をパスして中国・マカオへ直接入ることができとても便利です。
この記事では、香港空港スカイピアを経由して、深セン蛇口・深セン福永空港、広州南沙・広州蓮花山、中山、珠海九洲、東莞虎門、マカオ外港・タイパの各地へフェリーで行く方法について案内したいと思います。
記事の後半では各方面への最新版の料金、時刻表も紹介していますよ。
香港の入国審査を通らず、直接中国やマカオに入れるフェリー
香港空港には空港内に「スカイピア」というフェリーターミナルがあります。
このフェリーターミナルから深セン、広州、中山、珠海、東莞やマカオに乗り継ぐと、香港の入国審査・出国手続きを省略することができるんです。
通常のルート | 「スカイピア」 |
---|---|
香港空港に到着 | |
香港の入国審査 | ↓(なし)↓ |
香港の出国手続き | ↓(なし)↓ |
中国/マカオの入国審査 | |
目的地に到着 |
海外旅行・出張に良く出かける人なら、入国審査と出国手続きを省略できるとどれだけ楽になるか分かりますよね。
香港と中国・マカオの間にはなぜ国境がある?
香港とマカオがそれぞれイギリス・ポルトガルの植民地だったため、20年前に返還されてからも、香港・マカオは「特別行政区(特别行政区)」として中国本土とは通貨や政治が異なったままになっています
それで、この両地域との間には現在でも国境(厳密には国境ではありませんが)が設けられているんです。
もし香港からマカオに陸路で移動しようと思うと、香港入国、香港出国、中国入国、中国出国、マカオ入国と非常に面倒なことになります。
香港空港のフェリーターミナルから乗り継ぎできる条件
さて、香港の出入国をスルーできてとても便利なフェリー乗り継ぎですが、利用するにあたって注意が必要な点があります。
というのも、持ち込み手荷物だけなら基本的にだれでも乗船は可能ですが、「預け荷物(受託手荷物)あり」で香港までの飛行機を利用する場合には利用に条件があるのです。
預け荷物がある場合の制限
香港までのフライトを「預け荷物あり」で利用した場合、荷物は飛行機からフェリーに直接積み替えられるため、乗り継ぎに条件があります。
自分で預け荷物を受け取ってフェリーに持っていくことはできません
フェリー乗り継ぎ対応の航空会社を利用していること
預け荷物をフェリーに積み替えしてもらうためには、利用する航空会社がフェリー乗り継ぎに対応(航空会社の一覧)している必要があります。
日本から香港へ行く航空会社はLCCも含めてほとんどが提携しているのですが、2018年1月現在ピーチ・アビエーションだけはこの提携リストに載っていません。
JAL(JL) | ANA全日空(NH) | ジェットスター・ジャパン(GK) |
バニラ・エア(JW) | チャイナ・エアライン(CI) | キャセイパシフィック(CX) |
香港エクスプレス(UO) | 香港ドラゴン航空(KA) | 香港航空(HX) |
中国国際航空(CA) | 中国東方航空(MU) | 中国南方航空(CZ) |
上海航空(FM) | 深セン航空(ZH) | 四川航空(3U) |
吉祥航空(HO) | アモイ航空(MF) | 春秋航空(9C) |
ジェットスター・アジア(3K) | スクート(TZ) | タイガーエア(TR)など |
コメントで「このリストに載っていない航空会社でも乗り継ぎできました」という情報をいただきました。
乗り継ぎ時間が1時間以上あること
荷物の積み替えを行う関係で、乗り継ぎ時間に余裕がないと乗船を断られる可能性があります。
運航本数の少ない路線や、その日の最終便に乗る予定の場合は、十分余裕を持って利用するようにしてください。
飛行機が遅れた場合のことも頭に入れて、別ルートも検討しておくといいですね。
同日乗り継ぎであること
香港空港に夜間到着するフライトを利用した場合、そのまま空港で朝まで待って、翌朝スカイピアからフェリーに乗ることはできません。
復路(マカオや中国から香港空港へのフェリー⇒飛行機乗り継ぎ)の場合も同様に、前日最終便のフェリーで香港空港へ入り、翌朝の飛行機へ乗り継ぐことはできません。
香港空港の外に出ないこと
香港空港に到着後、いったん制限区域外に出てしまうと、スカイピア(空港内のフェリー乗り場)を利用することはできません。
おすすめ機内持ち込みスーツケース
例えばスーツケースを軽量小型のものにして、持ち込み手荷物だけで行くのもいいですね。
フェリー以外のルート
フェリーを利用できない場合、リムジンバスか、路線バス+香港MTR、または香港市内のフェリー乗り場から中国本土へ移動することになります。
フェリーの次に便利なのは「スカイリモ」リムジンバスです。少し窮屈なのが難点ですが、バス乗り場が香港空港の施設内にあるので分かりやすく、香港出国~中国入国~中国税関を車に乗ったまま行えるので、手間もあまりかかりません。
復路(本土・マカオ⇒香港空港)便の乗船ルール
中国本土やマカオから香港空港に向かう、復路ルートにはまた別のルールがあります。
- ピーチへの乗り継ぎは預け荷物がなくても乗船不可
- フェリー到着時刻から80分~120分後以降のフライトであること。
- 香港空港に到着したら乗り継ぎする前に「離境税退款櫃檯」で空港税(出国税)の払い戻しを受けること
(復路)同時チェックイン・バゲージスルー
一部の航空会社・乗船地では、フェリー乗船時にチェックインや荷物の預け入れ(バゲージスルー)ができます。利用する路線が対応していればとても便利ですよ。
以下は代表的な航空会社と乗船地の組み合わせです。
マカオ外港フェリーターミナル | |
---|---|
日本航空(JAL) | チェックイン 荷物預け入れ |
全日空(ANA) | チェックイン 荷物預け入れ |
香港エクスプレス | チェックイン 荷物預け入れ |
ジェットスター・ジャパン | バゲージスルー |
マカオ タイパフェリーターミナル | |
日本航空(JAL) | バゲージスルー |
全日空(ANA) | バゲージスルー |
香港エクスプレス | バゲージスルー |
深セン福永港(深セン空港)フェリーターミナル | |
日本航空(JAL) | チェックイン 荷物預け入れ |
全日空(ANA) | チェックイン 荷物預け入れ |
香港エクスプレス | チェックイン 荷物預け入れ |
深セン蛇口港フェリーターミナル | |
日本航空(JAL) | バゲージスルー |
東莞虎門フェリーターミナル | |
日本航空(JAL) | チェックイン 荷物預け入れ |
香港エクスプレス | チェックイン 荷物預け入れ |
広州南沙フェリーターミナル | |
日本航空(JAL) | バゲージスルー |
ジェットスター・ジャパン | バゲージスルー |
中山港フェリーターミナル | |
日本航空(JAL) | バゲージスルー |
珠海九洲港フェリーターミナル | |
日本航空(JAL) | バゲージスルー |
香港空港スカイピアからのフェリーは以下の3社が運行しています。
チケット売り場の窓口は3社とも同じ場所にあるので、チケット売り場に到着したら、時刻表を確認して各社の窓口に並びましょう。
中国本土ゆき | CKS珠江客運有限公司 |
---|---|
マカオゆき | ターボジェット |
マカオゆき | コタイジェット |
[往路]香港空港フェリーターミナルの乗り方
香港国際空港のフェリーターミナルで、中国本土・マカオゆきフェリーに乗るのはとても簡単です。
飛行機を降りたら受託手荷物を受け取らずにE2エリアへ
飛行機が香港空港に到着して降機したら、まず「E2」エリアに向かいます。。
この表示にしたがって進んでいきます。
ここで間違って荷物受け取りのターンテーブル(「入境検査」)の方向に進んで行かないように注意してください。
いったん香港の入国審査を受けてしまうと、空港内のフェリーターミナルを利用することはできません。
スカイピア(SKY PIER)でチケット購入+預け荷物の半券を提示
しばらく歩くと、E2エリアにある乗船券売り場「スカイピア」に到着します。
カウンターの時刻表で自分の乗るフェリーを確認し、同行者全員のパスポートと搭乗券(預け荷物がある場合は半券)を揃えて乗船券を購入します。
中国語ができなくても英語か筆談でも全く問題ありません。
各行き先の中国語(繁体字)での書き方は以下のとおりです。
深セン 蛇口港 | 深圳蛇口 |
---|---|
深セン 福永港(深セン空港) | 深圳福永または深圳機場 |
広州 南沙港 | 廣州南沙 |
広州 蓮花山港 | 廣州蓮花山 |
中山 中山港 | 中山港 |
珠海 九洲港 | 珠海九洲 |
東莞 虎門港 | 東莞虎門 |
マカオ 外港フェリーターミナル | 澳門外港 |
マカオ タイパ臨時フェリーターミナル | 澳門氹仔 |
ここで預け荷物の半券を提示することで、預け荷物がフェリーに載せ替えられるよう手配されるシステムになっています。
そのため、預け荷物は本土(マカオ)側で下船するまで自分で運ぶ必要はありません。(つまり、フェリーの中で使いたいものは預け荷物に入れてはいけません)
また、スカイピアのチケット売り場では、クレジットカード(JCB / VISA / Master / AMEX)を使えます。
乗船待合室へ移動⇒乗船
チケット売り場に向かってすぐ右側が、本土・マカオゆきフェリー乗り場です。
乗船時間近くまで(30分前ぐらい)は空港内を探索しても良いでしょう(ただし、行動範囲は制限エリア内のみですので注意してください)。
この時間に空港内のATMで人民元や香港ドルに両替しておくこともできます。(香港空港内の中國銀行ATMでは人民元への両替が可能です)
関連記事: [図解]香港空港ATMの使い方 日本のカードで香港ドル現金を引き出す方法
スカイピアのフェリー待ち合いエリアには十分な席があり、セブン-イレブンもトイレも完備、Wi-Fiも飛んでいるので、静かに過ごしたいなら早めにここに来てしまうのもありです。
乗船時間になると案内のアナウンスがあるので指示に従って乗船します。
船内の荷物置き場は目の届かない場所にあるので、パソコン等の貴重品はキャリーバッグから出しておくことをお勧めします。
香港国際空港→中国・マカオのフェリー時刻表(2018年1月現在)
香港空港内のフェリーターミナルから、中国各都市(深セン、広州、中山、珠海、東莞)・マカオへのフェリーの時刻表と乗船代金(大人料金)については以下の記事をご覧ください。
深セン蛇口港路線
深セン福永港(深セン空港)路線
香港空港からのフェリー移動は、のんびり楽に移動したい人向き
香港空港~中国本土・マカオ間のフェリーのメリット・デメリットを比較してみると、時間に余裕があって、体力を節約したい方に向いている移動手段ということができます。
香港空港から本土ゆきフェリーのメリット
- 珠江口という穏やかな内海を航行するため、船酔いすることも少ない
- 預け荷物を到着港まで運んでくれる
- 乗り継ぎ不要で、目的地までの移動がわかりやすい
- 香港への入出国手続きが不要
香港空港から本土ゆきフェリーのデメリット
- フェリーの待ち時間が長い(特に預け荷物のある場合)
- フェリーの便数が限られる(路線によっては1日3便程度のことも)
ファーストクラス・エコノミークラスのどちらに乗るか
香港~中国・マカオゆきフェリーにはたいてい、エコノミークラス(普通舱)とファーストクラス/スーパークラス(头等舱)、そして路線によてはVIPクラス(贵宾舱)の座席があります。
「ファーストクラス」や「VIPクラス」と言っても軽食が出る程度のようですが、待合室もエコノミークラスとは別部屋になりますし、エコノミークラスの騒がしさを避けたい人にはいいと思います。