【注意】新しい銀聯ICカードは日本のATMやPOSで使えない?

この記事は2015年11月に作成された記事を再構成したものです。記事の内容が古くなっている可能性があります。

中国では、キャッシュカード・クレジットカードを悪用した犯罪防止のため、カードのIC化が進められています。

ICチップ内蔵のカードは偽造が非常に困難で、犯罪の防止には非常に効果があるのですが、その一方で、中国の銀聯(UnionPay)ICカードが日本のATMで使えない(現金引き出しができない)という問題が起きています。

その理由を調べてみました。

この記事を書いた人
DASHi@わーとら!管理人

旅ブロガー。中国地方の某県を拠点に、のんびり地方暮らしをしつつ業務やプライベートで海外と日本を行ったり来たりする日々を続けて20年、行った旅行先はアジア~北米・ヨーロッパを中心に20ヶ国以上になります。このブログでは旅から気づいた情報を発信しています。本業はフリーランスのソフトウェアエンジニア、趣味は海外鉄道の乗り歩き。

更新履歴

2015/11/16
「中国でクレジットカード(VISAやMaster、JCBなど)が使えない」ことについてはこちらの記事をご覧ください

2016/09
中国政府や各銀行による現金引き出し規制についてはこちらの記事をご覧ください⇒日本で銀聯カードが使えなくなった時に確認すること

2016/10/05
セブン銀行ATMが銀聯ICカードに対応しました。
関連記事:セブン銀行(7-11)ATMが銀聯ICカードに対応!引き出し額上限も10万円に引き上げ

銀聯ICカードは日本のATMで現金引き出しができない?

しばらく前に、読者の方から「最近の銀聯キャッシュカード(银联卡)はIC化されていて、日本のATMで現金を引き出すことができなくなりました」とコメントをいただきました。

また、ここ最近は「銀聯ICカード 日本 ATM」のような検索キーワードで記事を見に来られる方も時折おられます。

私が中国でカードを発行したのはもうずいぶん前のことになります。新しいカードの事情はさっぱり把握しておらず、最近の情報に通じていませんでした。もしこのブログを見て安心してATMでお金を下ろそうとし、上手く行かなかったという方がおられたら申し訳ありません。

銀聯カードは磁気カードの廃止が進んでいる

上のコメントによれば、対象となるのは、2015年以降に発行された「IC専用の銀聯カード」ということのようです。

これはどういうことかと調べてみましたら、中国の新聞記事によれば、今年に入って中国の各銀行は、ICと磁気ストライプの両方が入った「ハイブリッドカード」の発行を停止し、ICチップのみカードの発行に切り替えているとのこと。

中国では既にICチップつきカード(IC卡もしくは芯片卡)が10億枚発行されており、ATM(取款机または提款机)も2011年から順次IC化への対応を進めてきました。

約4年が経過し、ATMのICカード対応作業がかなり進み、各銀行の発行したカードと、各銀行のATMとの間の互換性(兼容性)問題も順次解決されてきたため、今年からICのみカードへの切り替えに踏み切ったようです。

中国のATMでは今でも磁気ストライプカード(磁条卡)も使えますが、近いうちにはICカード専用ATMも増えてきて、磁気カードは使えなくなるだろう、と言われています。

中国のキャッシュカード=デビットカード

中国の銀行で発行された銀聯キャッシュカード(银行卡)は、買い物もできる銀聯デビットカード(借记卡)としても使えます。

降級交易とは?

この件を中国のサイトなどで調べていましたら、「降级交易」という言葉が出てきました。直訳すると「ダウングレード取引」という意味ですが、どういった意味なのでしょうか。 金融関係のサイトによれば、これまではICカードの過渡期ということもあって、IC対応ATM(やPOS)がICチップをうまく認識してくれないということがあったようです。 そのような場合に、ICカードとIC対応ATM(もしくはIC対応POS)という組み合わせであっても(この組み合わせの場合は本来ならICチップを読み取らせるべき)、あえて磁気ストライブ部分を読み取らせるような操作ができたということのようです。 何事も新しい仕組みに切り替えるというのは大変な作業なのですね…

最近の銀行ATMはIC対応なのに?

そこで、一つの疑問が出てきました。

セブン銀行のATMはICチップつきキャッシュカードに対応しているはずです。調べるとやはり、セブン銀行のATMはいち早くICチップ付きキャッシュカードに対応していました(参考リンク)。

他の銀行ATMもかなりICカードに対応してきているはずですが、どうして銀聯ICカードには対応していないのか、と調べてみると原因は「中国独自規格」でした。

世界のICチップは「EMV」という規格を採用しているのに対し、銀聯カードのICチップは「PBOC」という独自の規格を採用しています。

そのため、銀聯ICカードは中国以外のATMでは使えないことが多いのです。

関連記事:国際キャッシュカードの互換性問題:JIS規格とISO規格、EMV規格とPBOC規格

現在、この2つの規格を共通化させる作業が進められているようですが、かなり時間がかかると思われます。

できるだけ早く、日本でも中国発行のICキャッシュカードが使えることを期待したいですね。

クレジットカードの店頭利用なら大丈夫(デビットカードは不可)

それにしては最近、あちらこちらで「銀聯カード使えます(欢迎使用银联卡)」というポップを見かけますね。こちらは大丈夫なのでしょうか。

調べてみると、中国での今回の磁気ストライプカード廃止施策はキャッシュカードを対象としたもので、銀聯「クレジットカード」ではまだ磁気ストライプが廃止されていない(参考記事「磁条信用卡什么时候停用」(中国語))ため、当面の間はクレジットカードでのIC問題はなさそうです。

2015/07追記:中国のIC(のみ)銀聯デビットカードは店頭でも利用できないようです。日本にも銀聯方式ICカードに対応したクレジットターミナルがあるらしいのですが、このターミナルの普及にはかなり時間がかかると思われます。

まとめ:◯磁気ストライプカード ◯磁気ストライプ付ICカード ×ICチップのみカード

ということで、情報をまとめてみると、昨年までに発行された、古いタイプの磁気ストライプのみのキャッシュカード、そしてICチップはついているけれど磁気ストライプも残っているカードは、引き続き日本のATMで使うことができます。

しかし、ここ数年の間に中国の銀行で「ICのみ」キャッシュカードを作った人は、日本のATMで現金引き出し(や店頭POSでの利用)をすることができません。

2016年10月:セブン銀行ATMが銀聯ICカードに対応しました。 関連記事:セブン銀行(7-11)ATMが銀聯ICカードに対応!引き出し額上限も10万円に引き上げ

日本で使える?
磁気ストライプのみカード
磁気ストライプ+ICカード
ICのみカード

今のところは、中国の各銀行で「海外で使いたいので磁気ストライプありカードに換えてほしい」と申し出ると、磁気ありカードに交換してくれる銀行も多いようです。

早めに手続きをしておくといいですね。

中国発行の銀聯カード

読者の方から提供していただいた銀聯カード画像です。

華夏銀行・中国光大銀行

こちらはどちらも日本で使えた銀聯カードとのことです。どちらも背面に磁気ストライプの黒い帯が見えますね。

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